老後資金、何から始める?家計と将来のお金を整理する5つのステップ
今の暮らしを確かめて、将来の備えを少しずつ。
「老後に向けて、お金を準備したほうがよさそう」
「NISAやiDeCoが気になるけれど、何から調べればいいのか分からない」
そう思いながら、日々の生活に追われて後回しになっている方もいるのではないでしょうか。
将来のお金を考えるとき、最初から制度や商品を選ぶ必要はありません。まずは今の暮らしを確かめて、いつ、何のためにお金が必要になるかを整理するところから始められます。
この記事では、老後資金や資産形成を考え始めた方に向けて、準備の進め方を5つのステップに分けて紹介します。
1.今の暮らしに、いくらかかっているかを知る
老後の生活費を想像する前に、今の生活にかかっているお金を見てみましょう。
家計簿を細かくつけていなくても、銀行口座やカードの利用明細から、おおよその支出は確認できます。
| 支出の種類 | 確認するもの |
|---|---|
| 住まいのお金 | 家賃、住宅ローン、管理費、修繕積立金など |
| 毎日の生活費 | 食費、日用品費、水道光熱費など |
| 定期的な支払い | 通信費、保険料、定額サービスなど |
| 暮らしを楽しむお金 | 外食、趣味、旅行、交際費など |
| 年に数回の支出 | 税金、帰省、家電の買い替えなど |
見落としやすいのは、毎月は発生しない支出です。
例えば、年に合計24万円ほどの支出があるなら、月平均では2万円に当たります。これは説明のための例ですが、こうして月単位に直してみると、普段の生活費だけでは見えなかった負担に気づけます。
最初から一円単位で合わせるよりも、「毎月どのくらい使い、どのくらい残っているか」をつかむことを目指しましょう。
見直すなら、使っていない支払いから
支出を減らそうとして、食費や楽しみのお金を急に削ると、続けにくいこともあります。
まずは、利用していない定額サービスや、今の使い方に合っていない契約がないかを確認してみてください。
保険を見直す場合は、保険料だけでなく、必要な保障まで失わないかを確かめます。今の契約を解約する前に、変更後の条件を確認しておくことが大切です。
2.将来の収入を、分かる範囲で確認する
老後資金を考えるには、将来の支出とともに、収入の見込みも整理します。
公的年金については、日本年金機構の「ねんきんネット」で、条件を設定して年金見込額を試算できます。今後の働き方や受給開始年齢などを変えて確認することもできます。
退職金や企業年金がある場合は、勤務先の制度も確認しておきましょう。「あると思っていた」という状態から、対象となる条件や見込みを把握するだけでも、考えるための材料が増えます。
ただし、将来の収入は確定していない部分もあります。働く期間や収入が変わる場合も考えて、一つの見込みだけに頼らず整理しておきたいところです。
3.お金を「使う時期」で分ける
貯蓄の残高を見ても、その全額を老後のために使えるとは限りません。教育費や住まいの修繕など、使い道が決まっているお金も含まれているためです。
そこで、手元のお金を次の3つに分けて考えてみましょう。
| お金の役割 | 使い道の例 | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 日々の暮らしと急な出費に備えるお金 | 生活費、急な修理、収入が減ったときの支払い | 必要なときに使えるか |
| 数年以内に使う予定のお金 | 教育費、引っ越し、車の買い替え | 必要な時期と金額が決まっているか |
| 長い期間をかけて準備するお金 | 老後の生活費など | 当面使わずに置いておけるか |
手元に残しておきたい金額は、家族構成や収入の安定性、住まいの状況などによって違います。一律の金額に合わせるより、「収入が減ったとき、どの支払いが続くか」を書き出して考えましょう。
近いうちに必要なお金まで運用に回すと、値下がりした時期に売却せざるを得なくなることがあります。使う予定を整理してから、運用を検討する範囲を考えることが大切です。
4.制度や商品は、目的に合わせて調べる
家計とお金を使う時期が見えてきたら、貯蓄や運用の方法を調べていきます。
ここで気をつけたいのは、「よく聞く制度だから」という理由だけで決めないことです。税制上の特徴に加えて、お金の引き出しやすさや、損失が出る可能性も確認しましょう。
NISAは、元本を保証する制度ではない
NISAは、対象となる投資で得た利益が非課税になる制度です。NISAそのものが金融商品ではなく、口座内で購入する投資信託や株式などによって、値動きやリスクは異なります。
非課税であることと、損をしないことは別です。購入した商品の価格が下がり、元本割れする可能性があります。
調べるときには、税金の仕組みだけでなく、「何に投資する商品か」「どのような費用がかかるか」も確かめましょう。
iDeCoは、お金を使える時期を確認する
iDeCoは老後に向けた資産形成のための制度で、原則として60歳以降の受給年齢に達するまで資産を引き出せません。
検討するときには、加入条件や掛金の上限、手数料などとともに、長期間引き出せなくても家計に無理がないかを確認します。
理解できない点を残したまま決めない
どの方法を選ぶ場合も、次の問いに自分の言葉で答えられるかを目安にしてみてください。
- 何のために、この方法を使うのか
- いつ使うお金を準備するのか
- どのような費用がかかるのか
- 損失が出る可能性はあるのか
- 途中でやめたり、引き出したりできるのか
答えが分からない項目があれば、そこが次に調べるポイントです。すぐに始めることより、仕組みを理解して選ぶことを大切にしましょう。
5.無理なく続けられる金額を考える
将来の必要額が気になると、積立額を増やしたくなるかもしれません。ただ、今の生活が苦しくなる金額では、長く続けることが難しくなります。
積立額を考えるときは、毎月の収支に加えて、年に数回の支出や、近いうちに予定している出費を含めて確認しましょう。
例えば、月1万円を10年間積み立てると、積み立てた元本の合計は120万円です。月2万円なら240万円になります。これは運用益や利息、税金、手数料を含めない単純な計算です。
こうした計算から、「自分の家計で続けられそうな額」と「将来に向けて準備したい額」の距離を確かめられます。
差が大きい場合も、高い運用利回りを前提に埋めようとする前に、支出、働き方、準備期間などを見直せないか考えてみましょう。
積立額は、一度決めたら変えられないものではありません。収入や家族の状況が変わったときには、利用している制度・商品の条件を確認しながら見直していきます。
自分だけでは整理しにくいときは、相談する方法もある
調べてみても、「自分の場合はどう考えればよいのか」が分からないこともあります。
その場合は、相談したい内容に合う窓口を選びましょう。公的年金の加入記録や受給手続きは日本年金機構、家計全体や将来のお金の計画はFPへの相談など、内容によって選択肢が変わります。
FP相談を検討するときは、次の点を確認しておくと、自分に合う相談先を選びやすくなります。
- 相談したいテーマに対応しているか
- 相談料はいくらかかるか
- 保険や金融商品の紹介・販売を伴うか
- 担当者の所属や、取り扱う商品の範囲はどうなっているか
- 相談後の連絡や継続相談はどのように行われるか
無料・有料という違いだけでは、相談できる範囲や自分との相性は分かりません。相談の目的を伝え、何をしてもらえるかを確認してから利用しましょう。